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⑥お客様が買っているものは商品か
・購入後に発揮される効用(ベネフィット)
ファッションショップの定員さんのことばをあげてみます。
「何かお探しですか」
「このシャツは形状安定加工ですから、アイロンの手間がかかりませんよ」
「このスーツはボタンが大きめにデザインされているため、オシャレなうえに着脱がとても簡単ですよ」
この後、お客様は形状安定加工のシャツとボタンが大きめのスーツを買っていかれました。
このお客様は、本当にこれらの商品だけを見ていたのでしょうか。
「アイロンの手間がいらない」「オシャレで着脱がとても簡単」という、購入後に発揮される効力(ベネフィット)を買っているのです。
お客様がサービスを選ぶ基準の一因としてあげられるのが「利益」です。金銭的な側面に限らず、お客様にとって利益や得となることをベネフィットといいます。
先ほどのファッションショップの例では、お客様は何らかの商品が欲しくてお店に来ていたのですが、商品を推進する定員のことばがきっかけとなり、その商品を購入するに至りました。
ここで要点は、何らかの不満を持っていたときの方が購入動機に結びつきやすいということです。もし何も不満を持っていなかったら、始めからその商品を意識することはありません。
お客様の不安や願望を整理し、解決策を提供してあげることが、購入するきっかけにつながるといえるでしょう。
お客様の悩みや願望の中から大きなものを取り上げて中核に位置付けるためにメインベネフィットを作ります。
それらの文章を冒頭に入れるとお客様の共感を呼び起こします。共感を呼び起こす要点として、メインベネフィットに市場性、優位性、説得性を組み込むことが必要です。
①市場性
お客様の関心をつかむために、悩みや不安の解消だけをメインに据えてしまいがちです。最初のことばだけを意識しすぎて市場性のない悩みの羅列にならないようにすることが肝要です。
キャッチコピーを使うことの目的は、お客様の注意を喚起することにあります。そのために印象的なキャッチコピーを作ることが求められます。しかし、誇張に誇張を重ねすぎるあまり、本文とのバランスがくずれてしまえば元も子もありません。
原形が見えないキャッチコピーは、まるで原形をとどめないほどスパイスをきかせた料理のようです。
適度なスパイスを使って食材の味を引き立てるように、本文とのバランスが取れたキャッチコピーを考えていきましょう。
②優位性
メインベネフィットは、競争を意識し、そこに優位性があることが肝要です。
優位性とは、「そこでなければならない」という決め手となる物事を指します。「うちの店舗は狭いので品数がないように思われるかもしれませんが、実はたくさんあります」というアピールの仕方では不利です。
見方が違えばお客様のとらえ方が変わります。お客様がその商品やサービスを選ぶ理由を明確にするために、優位性を強調することが肝要です。
品揃えが豊富 → 多くて迷う・躊躇する
たくさんあって好きなものを選べる
品揃えが少ない → ピンポイントで分かりやすい
少なくて他と比較して選べない
上記の例からいえるのは、長所と短所は表裏一体であるということです。
見方が違えばお客様のとらえ方が変わります。お客様がその商品やサービスを選ぶ理由を明確にするために、優位性を強調することが鍵となります。
自社に不利な状況を伝達するのではなく、プラス思考でお客様にお伝えしましょう。
③説得性
メインベネフィットは、優位性を踏まえたうえで説得性を持たせることが肝要です。
自社の魅力は探すべきものであって、作るものではありません。
次のストーリーを読んでください
惣菜会社の社長の話
以前、私はインスタント食品やコンビニ弁当ばかりの不規則な食生活をしていました。
添加物や塩分の害が公にされている時代ではなく、気付いたときには花粉症・アトピー・ハウスダストなどのアレルギー症状や高血圧と不整脈による通院で仕事も手に付かない状態となっていました。
自分のような苦しい経験をする人をこれ以上増やしたくないと、保存料無添加・無農薬・減塩にこだわった惣菜作りを何も知らない状態からスタートしました。
このような社長のことばを読んで、どう思われますか。
単に「いい商品です!買ってください!!」というよりも、ずっと説得性があるといえます。なぜなら、この惣菜会社を立ち上げた社長も消費者と同じ境遇だったからです。
このように、商売に対する情熱がお客様のベネフィットと結び付いたとき、最大の説得性を持ちます。
・「無料」の効果
商品やサービスに値段がつくことで、消費者は選択を迫られます。それだけで行動をやめさせる力を持っています。値段がついているものに出会うたび、頭の中で「それだけの値打ちがあるものか」と思案してしまうのが消費者心理です。
どれくらいの金額であろうとも、お金を請求されることで私たちは本当にその商品やサービスが欲しいのかどうかを自分の中で確認しなければならなくなります。
その一方、その商品が無料なら、自分自身に確認しなくても簡単に決断できます。
つまり、消費者は、「深く考えずにすむもの」を選びやすい傾向があります。
「百聞は一見に如かず」ということわざのように、100回その商品について聞くよりも、1回その商品を試してみたほうが現実的にとらえられます。

無料サンプル・無料冊子などの提供品は売り手の即座な収入を放棄する代わりに、まだ顧客になっていない潜在的な顧客を探してくれることにつながります。
いきなり新商品を販売するのでは、ハードルが高いといえます。
お客様が商品の存在を受け入れやすくするため、心理的なリスクのハードルを下げる必要があります。
「無料提供」で優位に立ったサービスは、選ばれることはあっても負けることはありません。それは、タダであれば失うものがないからです。
それに加え、無料であることに感動して、提供されたものを実際よりもずっと価値のあるものだと判断する場合も多くあります。
提供された情報をもとに、商品を受け入れてからお客様の意思で購入されれば「顧客満足度」もおのずとアップしてくるでしょう。
・常に無料サンプルがよいか?
「無料サンプル」が効果を発揮しないケースが増えています。
無料サンプルで商品を試してもらうこと自体はとても素晴らしいことです。
ここで、忘れてはならない重要点があります。
それは、無料サンプルにはお金がかかるという点です。
サンプル製作には、製品の費用、梱包費用、送料に加え、人件費、設備維持費などのコストが非常にかかります。
むやみに配るだけでは、サンプルのバラまき製作になってしまいます。
そこで最近見受けられるようになったのが「有料サンプル」です。
「お試しセット(送料無料)1000円」
「美白コスメが980円で試せる!送料無料でお届けします」
「トライアルセットご購入で、今ならオリジナルポーチ付き」
なぜ無料ではなく有料のサービスが注目されているのでしょうか。
それは、無料サンプルを申し込んだことによって「高価な商品を売り付けられるのではないか」「執拗に電話がかかってくるのではないか」などの不安を持ってしまうことがあげられます。
また、タダで配っているものであれば「希少性」が感じられないこともあげられます。
高いお金を出して高級なワインを購入している消費者の目の前でそのワインをタダで配ったとしたら、たちまちそのワインの心理的な値打ちが下がってしまいます。
「貴重な商品ですが、多くの方に試していただきたくて数量限定お試しセットを作りました」
このような名目があれば、タダで配っているものよりも説得力があり「一度、試してみよう」と消費者は行動に移してくれます。
無料サンプルによって心理的なハードルが下がるのは事実なので、顧客の反応を見て「本品+無料サンプル」とすることや、思い切って「お試し有料サンプル」に切り替えるなどの戦略を立ててみることが成功につながるといえるでしょう。